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母のちから(キャディ物語)・最終章
[2006年10月28日(土)]

結局・・・K崎の行方はわからなかった。





数日後・・・・
佐々木は新しい就職先が見つかり、東京で働くことになった。


そしてゴルフ場はいつもと変わらぬ風景を描き・・・・そしてそこで働く人も、集まる人達も・・・
K崎が以前そこにいた事など忘れていた。


佐々木は新しい職場に慣れた1年後・・・ゴルフ場に足を運んだ。

「いやーー元気っすか?!」

マスター室に手土産を持って挨拶した。

ゴルフ場はやっぱりいい。自然に囲まれて・・・空も綺麗だ。空気も美味しい。

都会の生活にウンザリ気味の佐々木には、実に新鮮に感じた。


佐々木もすっかりK崎の事は忘れていた。

佐々木も毎日格闘していた。荒波の中必死で働いた。


それから数年後結婚、そして・・・・・子供も出来て、佐々木も一国の主として忙しい毎日を送っていた。


そしてあれから

15年という月日が経っていた・・・・。



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Posted by カリマン at 00:27 | キャディ物語 | この記事の詳細
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続々続々続・母のちから
[2006年10月27日(金)]

K崎の家が見えてきた。




人影は・・・なかった。

錆び付いた三輪車は・・・いつもの様に斜めに転がっていた。


佐々木は車を降りて、玄関に走った。

「K崎さん!」

ドアを叩いたが・・・・まったく反応はなかった。


もう、辞めたその日に出て行ってしまったのか・・・・


佐々木は・・・その場でうずくまった。

佐々木は・・・一言どうしても言いたかった。


「ごめんなさい」と。


何も解らず・・・何も知らずただ・・・あんな運転をしてしまった事。

いつも愛想悪く対応してた事・・・・。



どうしてもっと・・・優しく出来なかったんだろう。どうしてK男くんを愛せなかったのだろう。

どうして・・・どうして・・・


何度も同じ言葉をその場で繰り返した。

悔しい気持ちそして・・・K崎母子を思う気持ちで

佐々木の瞳には涙が溢れた。




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Posted by カリマン at 00:30 | キャディ物語 | この記事の詳細
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続々続々・母のちから
[2006年10月26日(木)]


K崎は泣き声に「はっ」と目が覚めて・・・「ごめんね・・・」と
K男をそっと抱き寄せた。

(良かった・・・大事に至らなくて)



佐々木は小さな声で看護婦さんに聞いた。

「まだ父親は来てないんですか・・・?」

「・・・いないみたいですよ。」

(やはり・・・いないのか。)


診断によると、倒れた原因は単なる過労。ただ体力が相当落ちており、このままの生活を続けると間違いなく死に至ると言われた。

確かにキャディの仕事はけして楽ではないにせよ、過労で倒れる事はめったにない。

明かに睡眠不足によるところが大きい。

佐々木はその時、あのすれ違った車の意味が解った。夜は恐らくスナックかバーか分からないが深夜まで働いていたのだろう。お店の迎えの車だ。

キャディの仕事が終わったら、落ち着く間もなく夜の仕事へ。

その間K男はずっと家で一人・・・あの山の中の家で留守番していたのだろうか・・・

K崎母子の想像を絶する様な生活が頭の中を駆け巡った。

外はもう薄暗くなっていた。

病室の窓からほんのわずか月の光が差し掛かっていた。


わずかな光・・・。


そう・・・そのわずかな光が・・・

消えない事を祈る佐々木がいた。





翌週佐々木はまたアルバイトに来た。

来るなりチラっとマスター室横にあるキャディ札を見た。

そこには・・・K崎の名前が書いてあった札が無かった。

「K崎さんは?」

「ああ、あいつ?・・・これだよこれ!」

と、事務所のボヤッキーそっくりの斉藤は首に手をやった。


「え!どう言う事ですか?!」

「あんな風に仕事中に倒れちゃうわ、ロクに仕事できないわ・・・ゴルフ場だってさすがにおいとくわけにいかなかったみたいだぜ・・・一昨日かな、親子でお別れの挨拶に来たのは・・・」


と斉藤の話が終わるやいなや・・・佐々木は車に乗り込んだ。

「おい!どこ行くんだよ!キャディしに来たんじゃないのか?!」

佐々木は答える事なく、無意識のまま車を走らせた。

「K崎さん!キャディの仕事がなくなったら次に何があるってんだよ・・・!」

向かった先は・・・K崎の家だった。

自分が行ったところでどうにかなるわけではない。

ただ佐々木は・・・どうしても伝えたい事があった。

「頼む・・・まだ居てくれ・・・!」

佐々木は・・・

何度もそう呟いた。


Posted by カリマン at 19:51 | キャディ物語 | この記事の詳細
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続々続・母のちから(キャディ物語)
[2006年10月26日(木)]

そして10月のある日・・・・その日は気温も高く絶好のゴルフ日和だった。

お客も沢山来ていて、佐々木もキャディのバイトにかり出されていた。


1週間ぶりに見たK崎は・・・ますます頬がこけていた。見るからに辛そうな顔をしていた。


しかし・・・誰も気にも留めていなかった。いや・・気が付いても・・・誰も声を掛け様としなかった。


K崎がキャディに出て・・・数分した時だった。

「そろそろ・・・僕の出番だ」

とカートを出す準備をしていた・・・その時!

マスター室にカート無線から声が走った。

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Posted by カリマン at 01:12 | キャディ物語 | この記事の詳細
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続々・母のちから(キャディ物語)
[2006年10月25日(水)]

灰色したボロボロのグロリアハッチバックが

小高い山の上から猛スピードで走り出した。



保育園からK崎の自宅まで下りの道のりが続く。。。

保育園に向かう時よりも、はるかに恐怖心の増した下りでの暴走。


ましてや今度は小さな子供もいる。

しかし、佐々木はアクセルを踏み込んだ。
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Posted by カリマン at 22:50 | キャディ物語 | この記事の詳細
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